アイアンリーガー寸劇〜IRON MISSIONへの道のり〜
[第二試合] そもそもプチオンリーって何だ!?
- 「GZ。ちょっといい?」
- 「なんだ?何か用か?」
- 「うん。さっきオーナーが申し込んでくれて皆で参加するって決めたプチオンリーの事なんだけど…」
- 「それがどうかしたのか?」
- 「プチオンリーって一体何をするところなんだろう?」
- 「・・・・・。(まさか知らないとは言えん…)」
- 「?」
- 「そっ、…そういうことはだな…俺よりも分かりやすく教えるのが上手いマグナムエースに聞くと良い。あいつは説明が上手いからな」
- 「わかった。マグナムエースに聞いてみるね」
- 「あ、ああ。分かったら俺にも一応報告してくれ。マグナムエースの説明が間違ってないか確かめる必要があるからな」
- 「わかった。ありがとうGZ」
- 「十郎太、マグナムエースを見なかった?」
- 「マグナムエースなら先刻シルキー達と共に特売のオイルを買いに行ったきりまだ帰っておらぬぞ」
- 「そうなんだ…ねえ十郎太。十郎太はプチオンリーに参加したことはある?」
- 「いや。それがしの住む山奥ではプチオンリーなる催しは見たことが無い。参加を申し込んだオーナーならば知っているのでは無いか?」
- 「オーナーは今オーナー会議に行ってるんだ」
- 「それでは仕様が無いな。ならば他の皆に尋ねてみてはどうだ」
- 「うん。でも、ブルアーマーもトップジョイもウインディも、よくは知らないって言ってた。GZは知ってるみたいだけどマグナムエースから教えて貰った方が分かりやすいからって言われて…それでマグナムエースを探してたんだ」
- 「そうであったか…それがしに知識があれば渡すことも出来たのだが……。これは拙者の勝手な推測だが、日曜に開催というからには縁日のようなものではないか?櫓(やぐら)や露店があり、そこで好みの菓子を買い求め、輪になり舞を披露したりする」
- 「縁日って、この夏に十郎太が僕達皆を連れて行ってくれたお祭りのことだよね?そうか…だったら参加する僕達は以前引き受けた盆踊り大会の時みたいに踊ればいいんだねきっと」
- 「いや、暫し待てリュウケン。やはり確と調べる必要がある。公式の文書から情報を得れば間違いないはずだ。ガレージにある回線を借りて調べることにしよう」
- 「そうだね。そうしよう」
- 「…主に売るものは菓子では無く自作の『雑貨』や『本』のようだな。そしてそれらを当日頒布出来ぬ場合、参加の許可が下りぬようだ」
- 「ということは僕達は開催日までに本か雑貨を作って用意する必要があるんだね」
- 「本…それがしが読むところの草双紙(くさぞうし)か。電子書籍が台頭してきてからというもの、紙と筆の一層の衰退を危ぶんだものだが…そう易々と廃れぬものだな。ありがたいことだ」
- 「でもどんな本を作ったらいいんだろう?僕、本なんて作ったこと無い…」
- 「本ではないが…以前、御坊が般若心経(はんにゃしんぎょう)の経典の複製をしたためて檀家へ心の的にするように手渡していたのを見た事がある。己の良いと思うものを形にし、興味を持つ者にそれを配り広めるという流れにさして違いは無いだろう」
- 「でもプチオンリーでは原作を模写した本を配るのは駄目みたい」
- 「左様であったか。そこは重々確認しておかねばならぬな」
- 「十郎太はどんな本を作るの?」
- 「昨日今日の話でまだ何も決めてはおらぬが…」
- 「十郎太はとても絵が上手いからきっと絵を生かした本がいいね。野鳥の図鑑とかどうかな?」
- 「成る程、己の得手を生かした本か。考えておこう」
- 「ただいま。そこに居るのはリュウケンと十郎太か?ガレージで何をしているんだ?」
- 「マグナムエースお帰り。いま十郎太とプチオンリーについて調べていたんだ」
- 「マグナムエース、お主に聞けば明瞭な回答を得られるとGZから言われたそうだ」
- 「そうなのか?」
- 「うん。そうだよ」
- 「丁度良い。それがしにもプチオンリーたる催しが如何様なものなのか教えてくれぬか?」
- 「………。」
- 「マグナムエースどうしたの?」
- 「すまない。実は存在は知っているのだが、俺も参加したことは無いのだ」
- 「ええっ!?」
- 「マグナムエース、それはまことか!?」
- 「ああ、本当だ。俺がロールアウトした昔からこのオンリーイベント──同人誌即売会というイベントの存在は知っていたが、ダークに居た頃は兄さん達と朝から晩までアイアンリーガーとして純粋に腕を磨くことしかしていなかった。それに土日祝はほぼ試合が行われるだろう?引退まで俺は全試合に登板していたから、日曜日とオフが重なる日もほとんど無かったんだ」
- 「そっか…マグナムエースはダークに居た時もずっとエースピッチャーだったもんね」
- 「ああ、でも興味はあったんだ。本当言うと参加を見合わせた一番の理由は、兄さん達に負けたくなかったんだ。……一日でも練習を休むと兄さん達に置いて行かれてしまうとあの頃は気を張ってばかりいた」
- 「そうなんだ…。あ!じゃあ皆でこれからGZに聞きに行くのはどうかな?」
- 「それがしは賛成だ」
- 「俺も是非聞いておきたい」
- 「うん!じゃあブルアーマーとトップジョイとウインディにも声をかけて皆でGZのところに行こう!」
[第三試合] 見えない非常口!